

開幕
ザッファが導いた音楽の扉
日本とエジプトがひとつに伝統の祝祭行列
「ザッファ」に導かれ、
日本とエジプトの調べ
が交錯する開幕。鳥居をくぐる演出とともに、
荘厳な国歌の調べが響きわたる。

Desert Sakure
ピラミッドに響いた二つの魂
~日本とエジプト、芸術が織り成す共鳴~
A GRAND
STAGE
ギザの夜空に咲いた、
日本とエジプトの文化交響詩
2025年4月11日、エジプト・ギザ。
悠久の砂漠にそびえる三大ピラミッドとスフィンクスを背に、日本とエジプトの文化が静かに融合する
一夜限りの野外コンサート「NEVER SEEN
BEFORE」が開催された。総合プロデューサーであり
オペラ歌手の世歌勳(SEKAI)氏が、
二年の歳月をかけて構想を練り上げ、
ついに実現へと導いた。
日没とともに、神々しい光に包まれた
ピラミッドが浮かび上がる。
その幻想的な舞台に、古代と現代、
東洋と中東の響きが交差する。
会場を訪れたエジプト政府関係者、各国大使、
日本からの来賓、そして現地の文化人たちは、
目の前に広がる荘厳な光景と緻密に構成された
演出に、言葉を失うほどの感動を覚えた。
ザッファが導いた音楽の扉
日本とエジプトがひとつに伝統の祝祭行列
「ザッファ」に導かれ、
日本とエジプトの調べ
が交錯する開幕。鳥居をくぐる演出とともに、
荘厳な国歌の調べが響きわたる。
星々に祝福された特別な
来訪者と、輝きを纏う
二つの光が舞台を照らす
考古学者
ザヒ・ハワス博士
在エジプト日本国大使館
岩井文男大使
オリンピック柔道・銀メダリスト
モハメド・アリ・
ラシュワン氏
異国の鼓動が共鳴した、
時空を超える舞台
砂の大地に轟く和太鼓の鼓動は、まるで大地の
心臓が静かに脈打つよう。そこに、アラブの弦
が光の糸のように絡み、音の波紋がゆっくりと
空間を満たしてゆく。獅子の鬣が夜を裂き、花
魁の舞が空気に絹の彩りを描く。やがて舞台に
は声が折り重なり、豊かなテノールとメゾソプ
ラノが、星々に触れるように夜空へ溶けてい
く。異なる文明が音の中で融け合うその瞬間、
舞台は時を忘れた神話のひと頁となり、永遠の
一瞬を刻んだ。
01
総合プロデューサー
tenor
世歌勳(SEKAI)
歌声と総合指揮で舞台を牽引。
情熱と調和の象徴として
光る存在に。
02
tenor
John Ken Nuzzo
ジョン・健・ヌッツォ
世界の名門歌劇場で活躍。伸びやかな声と深い表現力で会場を魅了し、国際的存在感を示した。
03
mezzo - soprano
Farrah El Dibany
ファラ・エル・ディバニー
メゾソプラノ歌手。エジプト国歌を斉唱し、圧倒的な存在感を
放った。
04
artist
Ezz El Ostoul
イッズ・エル・オストール
古代エジプト語にあたるコプト語で歌唱する数少ない歌手。独自のスタイルで、強い印象を残した。
05
和太鼓
「転輪太鼓」
愛知県から参加した5名の和太鼓奏者は、腹の底に響くような重低音と息の合ったリズムで、舞台にダイナミズムを加えた。舞踊との連携やソロ演奏もあり、視覚と聴覚の両面で観客を圧倒した。
06
日本舞踊五條派
連獅子
東京を拠点とする日本舞踊五條派の五條詠寿郎さんの社中から、2名の舞踊家が登場し、重厚な衣装と獅子の毛をまといながらも、力強く躍動感あふれる動きで舞い、観客を魅了。
07
日本舞踊五條派
花魁
終盤のフィナーレでは、エジプト人ダンサーたちとの共演が実現。舞台上で両者が一体となって踊る姿は、公演全体を象徴するシーンとして強く印象を残す。
08
箏と歌で彩る
多彩なシーン
京都から参加したSongbird TAeKOさんは、箏(こと)と歌の両面で舞台に登場。ジョン・健・ヌッツォさんが歌う「さくらさくら」に箏で伴奏を務めたほか、連獅子の毛振りに合わせて効果音として演奏を行う。さらに、花魁との共演や、「Hokey Pokey」の歌唱など、さまざまな場面で起用され、舞台全体に豊かな表現を添えた。
09
4人の歌手が共演する
感動の場面
公演の終盤、「川の流れのように」がプログラムに登場し、舞台上には4人の歌手が並ぶ。秀逸なオーケストラ編曲が響く中、それぞれが丁寧に歌唱を披露。とくにFarrahさんが日本語で歌う姿が印象的で、楽曲の持つ情感がより一層引き立っていた。
夜空に咲いた音楽の花
歓喜のラストステージ箏とカヌーンが語らうよ
うに響き合い、舞踊は音に呼応して静かに舞い
始める。やがて全ての音と声、身体がひとつに
溶け合い、舞台は壮麗なクライマックスへ。鳴
りやまぬ拍手と共に、夜空には感動が花火と
なって咲き誇った。
この舞台は、ひとつの国の文化を語るものではなかっ
た。それは、日本とエジプト、ふたつの魂が互いの響き
を受け止めながら、音と舞、手と手で紡ぎあげた壮麗な
交響詩──。幕の裏には、言葉を交わさずとも通い合
う心と、ひとつの美を信じて歩む静かな情熱があった。
その姿は、観る者の心に深く刻まれ、現地メディアの賛
辞とともに、在エジプト日本大使館からも「両国を結ぶ
新たな架け橋」として讃えられた。